司法試験を実務から考える

司法試験の論文問題を実務の視点から掘り下げています

過去問検討

その4 別件逮捕・勾留と余罪取調べ(司法試験論文試験 平成23年 刑事系科目・第2問・設問1)

ようやく別件逮捕・勾留の検討です。 1.別件逮捕・勾留の判断基準 2.検討 甲について (1) 第1次勾留を請求する目的ないし意図 (2) 第1次勾留期間の本件取調べへの流用の程度 ア 本件に対する取調べ状況 イ 1日30分をどうやって証明するのか ウ 捜査…

その3 別件逮捕・勾留と余罪取調べ(司法試験論文試験 平成23年 刑事系科目・第2問・設問1)

逮捕③・逮捕④と、それらに引き続く身体拘束について検討します。 なお、分量が多いため、別件逮捕・勾留の論点は、その4で触れます。 1.逮捕③ 甲の・殺人死体遺棄被疑事件 (1) 罪を犯したと疑うに足りる相当な理由 (2) 逮捕の必要性 2.逮捕③に引き続く…

その2 別件逮捕・勾留と余罪取調べ(司法試験論文試験 平成23年 刑事系科目・第2問・設問1)

その1 を前提に問題文の具体的な検討に入ります。 ところで、 その1 の整理を前提とすると、この問題は恐ろしく時間が足りないことに気が付きます。試験の現場でもざっと見て、5分くらいで「時間がない問題だ」と見抜かなければなりません(時間配分も立派…

その1 別件逮捕・勾留と余罪取調べ(司法試験論文試験 平成23年 刑事系科目・第2問・設問1)

捜査についてです。 1.平成23年の問題を選んだ理由 2.別件逮捕・勾留を論ずる前に ⑴ 論点が出てくる理由を意識 ア 出題趣旨 イ 別件逮捕・勾留が論点足りうる理由 ウ 答案にもばらつきがあったのでは エ 反省からの誘導する問題? (3) 別件基準説をと…

その4 自白法則と違法収集証拠排除法則(司法試験論文試験 令和2年 刑事系科目・第2問・設問1・設問2)

その2 の整理に従って検討していきます。 その3 で自白法則を検討しましたので、違法収集証拠排除法則を検討します。 1.判例の検討 (1) 百選掲載判例の理解 (2) 実質的逮捕? (3) 昭和59年決定・平成元年決定の留意点 2.取調べの違法性 (1) 昭和59年決…

その3 自白法則と違法収集証拠排除法則(司法試験論文試験 令和2年 刑事系科目・第2問・設問1・設問2)

その2 の整理に従って検討していきます。 自白の任意性→違法収集証拠排除法則の順で検討します。 1.偽計による自白→結局あてはめ 2 百選掲載判例・裁判例との比較 (1) 問題文 (2) 百選掲載判例1 最高裁昭和45年11月25日大法廷判決(百選11版・69事件) …

その2 自白法則と違法収集証拠排除法則(司法試験論文試験 令和2年 刑事系科目・第2問・設問1・設問2)

では具体的に検討していきます。 1.戦略という観点からの検討 2.結論が大事という視点 (1) 自白調書が採用されなければ無罪 (2) 事案の重大性や証拠の重要性 (3) 考慮される理由 (4) 事案の重大性や証拠の重要性に触れた文献 (5) 暗記しようとすると忘れ…

その1 自白法則と違法収集証拠排除法則(司法試験論文試験 令和2年 刑事系科目・第2問・設問1・設問2)

更に過去問の検討をしていきます。 自白法則と違法収集証拠排除法則です。 1.なぜ令和2年の問題を選んだか 2.前提知識 (1) 論点 (2) 判例・裁判例 (3) 旧版の百選掲載判例・裁判例までチェック? 3.設問2の1の学説チックな問題について (1) 自白法…

その4 公判前整理手続(司法試験論文試験 平成28年 刑事系科目・第2問・設問4)

司法試験では判例・裁判例から若干ずらした(射程外ともいえる)問題が出やすいという話をしました。 この点については下記記事もご参照ください。 ozzyy.hatenablog.com 平成28年の刑事系第2問・設問4では、直近の平成27年5月25日決定(刑集69巻…

その3 公判前整理手続(司法試験論文試験 平成28年 刑事系科目・第2問・設問4)

続いて、実務的な視点から掘り下げていきます。 それぞれが困ることをもう少し掘り下げていきます。 1.質問を制限されて被告人乙が困ること 2.質問を制限されないと検察官Sが困ること (1) 立証準備が台無しになる (2) 今さら話を変えても信用されないか…

その2 公判前整理手続(司法試験論文試験 平成28年 刑事系科目・第2問・設問4)

公判前整理手続は受験生には理解が難しい 平成27年決定の知識は問われていなかった とすると多くの受験生にとっては未知の問題についてその場で考えるというものでした。その際にどう考えていくかを検討します。 1.こういう時は趣旨から? 2.条文を探…

その1 公判前整理手続(司法試験論文試験 平成28年 刑事系科目・第2問・設問4)

更に過去問の検討をしていきます。 趣向を変えて公判前整理手続について触れます。 1.なぜ平成28年の問題を選んだか 2.なぜ公判前整理手続が出題されたか 3.平成27年決定の知識は必須とはされていなかった (1) 出題趣旨の言及 (2) とはいえ理解は…

その4 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

その3で実務的な観点から分析をしました。 「受験生レベルでは無理」という意見もあるかもしれませんので、その点を考えます。 1.直接証拠や供述の信用性(補助証拠)の議論を答案で書けますか? (1) 問題の端的な整理 (2) 基本書で解説されている用語で…

その3 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

続いて実務的な視点から問題を分析してみます。 1.実際の裁判であった場合 (1) 公判における甲の態度 (2) 検察官の方針 (3) 弁護人の方針 2.実況見分調書が持ってくる意味 (1) 自白の信用性が重要なポイントに (2) 犯行が物理的に可能であること (3) 再…

その2 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

その1の一般的な検討を踏まえて、日ごろの勉強の中でどこまで準備が必要であったかという点を考えてみます。 1.平成17年決定の理解は必須であったか (1) 出題趣旨や採点実感の記載 (2) 刑集・判例百選に搭載されている (3) 試験前に調査官解説を読める…

その1 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

前置きが長くなりました。 具体的に司法試験の過去問を検討していきます。 私の趣味もあり、刑事系第2問(主に受験生には理解が難しい証拠や公判)について扱っていく予定です。 なお、分析で示した結論は、実務家としての私の見解ではなく、あくまでも試験…