司法試験を実務から考える

司法試験の論文問題を実務の視点から掘り下げています

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

実務は結論が大切。司法試験も然り

司法試験を解くにあたっての結論の大切さに触れてみます。 1.「何説が正しい」を探す旅? 2.実務家登用試験→具体的な問題の解決 3.具体的な問題を解決することと〇〇説 4.結論とは (1) 刑事訴訟法における結論 (2) 伝聞法則の出題に関する結論の一例…

その1 公判前整理手続(司法試験論文試験 平成28年 刑事系科目・第2問・設問4)

更に過去問の検討をしていきます。 趣向を変えて公判前整理手続について触れます。 1.なぜ平成28年の問題を選んだか 2.なぜ公判前整理手続が出題されたか 3.平成27年決定の知識は必須とはされていなかった (1) 出題趣旨の言及 (2) とはいえ理解は…

その4 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

その3で実務的な観点から分析をしました。 「受験生レベルでは無理」という意見もあるかもしれませんので、その点を考えます。 1.直接証拠や供述の信用性(補助証拠)の議論を答案で書けますか? (1) 問題の端的な整理 (2) 基本書で解説されている用語で…

その3 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

続いて実務的な視点から問題を分析してみます。 1.実際の裁判であった場合 (1) 公判における甲の態度 (2) 検察官の方針 (3) 弁護人の方針 2.実況見分調書が持ってくる意味 (1) 自白の信用性が重要なポイントに (2) 犯行が物理的に可能であること (3) 再…

その2 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

その1の一般的な検討を踏まえて、日ごろの勉強の中でどこまで準備が必要であったかという点を考えてみます。 1.平成17年決定の理解は必須であったか (1) 出題趣旨や採点実感の記載 (2) 刑集・判例百選に搭載されている (3) 試験前に調査官解説を読める…

その1 犯行再現と伝聞証拠(司法試験論文試験 平成21年 刑事系科目・第2問・設問2)

前置きが長くなりました。 具体的に司法試験の過去問を検討していきます。 私の趣味もあり、刑事系第2問(主に受験生には理解が難しい証拠や公判)について扱っていく予定です。 なお、分析で示した結論は、実務家としての私の見解ではなく、あくまでも試験…

司法試験対策としての判例・裁判例の学習の仕方

司法試験論文試験では、判例・裁判例を題材にした問題が狙われやすい というお話をしました。 とはいえ、判例・裁判例は膨大な分量があり、全てに目を通すのは不可能です。 司法試験の学習にあたっては以下のようにメリハリをつけるのがよいと思います。 1…

司法試験の論文試験と判例・裁判例

判例・裁判例の日ごろの学習の仕方です 論文試験では判例・裁判例を題材にした問題が頻出です。 なぜでしょう。 私なりの考えをまとめます。 1.司法試験は実務家登用試験であること (1) 実務では条文と判例・裁判例が重要 (2) とくに判例(最高裁の裁判)…

司法試験の過去問は「早期に」解く・「何度も」解く

過去問の分析の仕方です。 1.2時間で分析しきることは不可能 論文試験の問題文をよく読むと、(ほぼ)一言一句無駄がない。 問題文を読んで使えないと思った事情があるとしたら、その事情を使うべきポイントに気が付いていない可能性があると考えた方が自…

司法試験の問題文には(ほぼ)一言一句無駄がない

「論文試験で問われていること」=「司法試験考査委員が答えてほしいこと」 とお話ししました。 本番では「問題文」にヒントがあるとお話しました。 1.問題文にヒントがある理由 なぜ問題文にヒントがあるといえるのか? 一つは、当然のことですが、実際に…